泌尿器科
泌尿器感染症
-
急性細菌性前立腺炎
-
急性精巣上体炎
-
亀頭包皮炎
-
急性膀胱炎
-
急性腎盂腎炎
急性細菌性前立腺炎
頻尿、排尿時痛、排尿困難などの症状が出現します。発熱を伴い、敗血症といった重症感染症に至る場合もあります。細菌による尿路の逆行性感染により発症しますが、前立腺肥大症や神経因性膀胱などの基礎疾患があることにより発症する場合が多いです。
〔診断〕
診断は尿検査、採血検査、直腸診、画像検査などで行います。尿、血液にて細菌の検査もその後の治療評価のために併せて行います。尿検査では細菌感染を示す膿尿を認めることが多く、採血では炎症反応の上昇を認めます。
〔治療〕
治療は細菌の感染に対して抗生剤治療を行い、排尿障害が強い場合は尿道カテーテルという管を尿道に留置する場合があります。また、重症化することがあるため、病態によっては入院加療が必要となることもあります。
急性精巣上体炎
症状は陰嚢の腫れと疼痛、熱感、発赤で、徐々に進行し、発熱も伴います。尿路から精子の通り道である精管を通じて起こる細菌感染症です。高齢者では前立腺肥大症、尿道カテーテルの留置などが原因となり、若年者では性感染症が原因となることが多いです。
〔診断〕
診断は視診、尿検査、採血検査などで行いますが、若年男性の場合性感染症の検査も併せて行う場合があります。尿、血液にて細菌の検査もその後の治療評価のために併せて行います。採血では炎症反応の上昇を認めます。
〔治療〕
治療は細菌の感染に対して抗生剤治療を行います。疼痛、発赤は数日で改善することが多いですが、改善後の陰嚢腫大、硬結は数週間程度残る場合があります。急激な陰嚢の痛みは急性精巣上体炎以外で、精索捻転という病気でも起こります。精索捻転は早期の対応が必要となり、加療が遅れると精巣が壊死する可能性もありますので、陰嚢に急激に痛みが生じた場合は早めに受診をしてください。
亀頭包皮炎
子供に多い病気で、包皮の腫れ、発赤、疼痛が症状となります。子供は包茎であることが多く、包茎にたまった恥垢が原因で発症することが多いです。
〔治療〕
治療は抗生剤の内服、軟膏にてほとんどの方が改善します。包茎が原因で発症しているため、無理やり包皮を翻転(包皮をむくこと)すると、炎症の再燃の原因となるので、行わないようにしてください。特にご両親が包茎が心配で無理に翻転し発症している場合もあります。子供はほとんどが包茎ですので急いで翻転する必要もありません。
亀頭包皮炎は一般的には数日で軽快します。亀頭包皮炎は繰り返す場合もありますが、手術は特に包皮の癒着が強い場合のみとなり、まずは包茎改善のためにステロイドの軟膏を使用することが多いです。
急性膀胱炎
若年女性、閉経後の女性に多く起こります。飲水量の不足、尿意の我慢、冷え、過労、性行為などが発症の原因と考えられています。主な症状としては排尿時痛、残尿感、頻尿、下腹部の違和感、尿混濁などがありますが、個人差があります。急性膀胱炎は細菌感染が膀胱内で起こることで生じます。混濁尿が血尿として見えることもありますが、膀胱内で炎症が起こると、炎症による影響により血尿が生じることがあるためです。
〔診断〕
尿検査にて膿尿(感染を起こした尿に膿が混じっている状態)、細菌尿を確認することで診断します。治療は抗生剤を内服しますが、通常3日間前後で症状は改善します。膀胱炎の予防は尿意を我慢しないこと、水分摂取が十分であることが重要です。また、性行為が発症のリスクとなることから性行為後の排尿が有効とも考えられています。
急性腎盂腎炎
膀胱内で起きた炎症が、尿管を伝わり、腎臓付近まで炎症が波及することで発症します。膀胱炎症状が先行することが多く、その後に発熱、背部痛などの症状が出現した時は急性腎盂腎炎を疑います。膀胱炎と同様に尿検査にて膿尿、細菌尿を認めますが、膀胱炎と異なる点として、発熱すること、採血検査にて炎症反応の上昇を認めることが多いです。
〔治療〕
膀胱炎と同様に細菌による感染症なので抗生剤で治療しますが、膀胱炎よりも、重症化することが多く、点滴などを含めた入院による治療が必要となることがあります。予防方法としては、膀胱炎がきっかけとなり、発症することが多いため、膀胱炎と同様に尿意を我慢しないこと、水分摂取を十分にとることなどが重要となります。